バケバケ
ちょうどその時エレジーが地下室に入ってきた。
両脇に小さい椅子を2つ抱えている。
「椅子、持ってきたわよぅ。」
エレジーは私とシイに一つずつ椅子を渡すと、地下室のドアにもたれかかった。
「ふぅ。」
「ありがと、エレジー。今ちょうど作成会議するとこ。」
灰音がカタカタとモニター下のパソコンのキーボードを叩く。
モニターが起動し、さっきまでいた愛空幼稚園の校門が映った。
ただ、さっきは門を外から見てたけど、この映像は門を内側から見ていた。
「チビッコたちの見ているものをそのままこのモニターに映せるようにしたんだよ、だからこれは三人のうちの誰かの視点。」
「へぇー。すごい。」
「だろー?んで、今回はもう犯人が何のバケバケかは見当がついてる。」
「ほんと!?」
「簡単だよ。バケバケはそのもとであるモノの所有者か、あるいは同じようにバケバケが見えるやつしか見えない。なのに新聞にはおかしなことが書いてある…」