バケバケ
2.消える人
2.消える人
「わざわざありがとう。シイくん…だっけ?」
「いえいえ。僕も昭仁さんにはお世話になってるんで。お焼香あげてもいいですか?」
「どうぞ。」
お母さんの声…?
それからもう一人の声は…
「!」
「あら?洋子目が覚めた?」
「私…」
「あんた玄関で倒れたのよ。」
「倒れた…?…ちがう。私は箱に…」
「箱?」
母は一瞬怪訝そうな顔で私を見た。
しかしすぐにもとの表情に戻った。
「まぁいいわ。それでここにいるシイくんが助けてくれたのよ。」
シイくん…?
母の隣に男の子が正座している。
…だれ?
「はじめまして。シイです。」
男の子が微笑む。
歳は私と同じくらい。
色白で染めたみたいに真っ黒な髪に、中性的な顔立ちで黒縁のメガネ。
いかにも頭が良さそうな優等生顔だった。
それにこの声…