バケバケ
「チビが傷ついたら俺も傷ついてるはずだし…今のとこ本体である俺は無事なわけだから…大丈夫なんじゃない?」
「…そう?」
「うん。……あ。シイが帰ってきた。」
灰音が指差す先にはシイがいた。
「戻してきた。」
「ご苦労!…さて次は…」
「バケバコ探しだな…。」
シイはひどく疲れているようだった。
私はこの前分身を体に戻した時はかなり疲れたのを思い出した。
「シイ、疲れてるんじゃない?」
「ん?あぁ…」
「分身の疲労分がそのまま戻ってくるからな。ちょっと休むか?」
「いや、これは……なんでもない。平気だよ。それよりチビ洋子が心配だ。早く行こう。」
「そうだな。けど…」
灰音は愛空幼稚園を見上げた。
そうだ。
私と灰音はこの幼稚園には入れない。
「俺が行ってバケバコを園の外に出そうか?」
シイが言った。
シイにはバケバコを壊せない。
たしかに、それが一番いい方法かもしれない。