バケバケ



「わかった、そうしよう。」


灰音が頷く。


「それじゃあ、シイはバケバコの回収とチビ洋子を連れてくる。洋子はここでシイを待って合流…」


「灰音は?」


「俺は……」




―ピヨピヨ ピヨピヨ♪




…ヒヨコの鳴き声?


「あ、俺だ。」


灰音がズボンのポケットを探って携帯を取り出した。


「エレジーからだ。……もしもし…」


灰音は電話を始めた。


何かあったんだろうか。


「…あぁ、だろうな。なんとなく知ってたよ、……余裕だって、心配すんな。……じゃあな。」


電話を切り、携帯をポケットに戻す灰音。


「エレジー、何て?」


「俺のことが好きすぎてしょうがないってさ~。」


灰音は呑気に笑った。


「俺って罪な男だ!」


なんだ、てっきり何かあったのかと思ったけど…


そんだけか。


「はいはい。…行こ、シイ。」


「そうだな。」




灰音と別れ、私たちは正門付近に向かった。




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