バケバケ
✳︎✳︎✳︎
「絶対待ってろよ、」
「わかったよ」
「俺が帰って来るまで動くなよ。」
「わかったって。」
灰音と別れたあと、私とシイは幼稚園の裏門付近までやってきた。
ここは正門よりは警備が薄く、人も少ない。
「俺は、タイキと会ってくる。そんでバケバコを奪って戻ってくる。」
「私はそれを受け取って壊せばいいんだよね?」
「うん。」
「じゃあ…」
シイが園内に入ろうとしたその時だった。
「あ!」
「?」
誰かの声がして、声の方をみると、見覚えのある人物がいた。
この人ってさっきまでモニターに映ってた三好先生…?
三好先生は園の柵から身を乗り出してきいた。
「あのっ!もしかして君、洋子ちゃんのお姉さん?」
洋子ちゃんのお姉さん…?
「あぁ、ごめん違ったかな?さっきまで一緒にいたここの園児によく似ているんだ。てっきりお姉さんかと…」
そういうことか。
「洋子…チャンスだ。」
シイがこそって私に耳打ちした。
「こいつ…何か情報持ってるかもしれない。適当に相づち打って聞き出せ。」
「うん。」