バケバケ
どうしよう…
とにかく幼い私を助けなくちゃ!
私は幼い私に手を伸ばした。
私の指先が幼い私の体に触れ、光が走る。
幼い私が私の中に戻っていく。
よし!
あとはシイが帰って来るまで時間を稼がなくちゃ。
私が振り返った瞬間だった。
「敵には一瞬でも背中を見せちゃだめなんだよ。」
「!」
三好先生が黒い箱を持って微笑んでいた。
「バケバコ…」
「やっぱり君は普通の人間の女の子だったよ。」
三好先生が箱の蓋に手をかける。
そして…箱を開けてしまった。
「……っ!」
黒い渦が私を取り囲み、私は箱の中に引きずり込まれてしまった。
「やった…これで…これで僕はまだ生きていられる!」
遠く頭の上から三好先生のそんな叫びが聞こえていた。