バケバケ




側面が壊せたら外に出れるかもしれない。




私は僅かな望みを頼りに歩き続けた。




メリーゴーランドから出発して、コーヒーカップ、大きな噴水、空中ブランコ、小さな赤い汽車、ジェットコースターの下を通り、右手にお化け屋敷を見て…


アイスクリーム屋、そして…


…メリーゴーランド…




「戻って来ちゃった…」




やっぱり、この箱は私の考えたような単純な作りじゃなかった。


それからまた歩き始めたけど、結果は同じだった。


違う方向も試したけど、これも無駄に終わった。




「…はぁ。」


私は近くのベンチに腰を下ろした。


だめだ…


出口が見つからない。


途方に暮れていた時だった。





「ごめんね、君はもうここから出れないんだ。」


「!」


見上げるとそこには三好先生がいた。


「安心してね。子供たちはちゃんと外に出すよ。…子供は好きなんだ。それに、何の罪もないしね。」


三好先生は楽しそうに遊ぶ子供たちを目を細めて見ていた。


「だったら…なんで…なんでこんなことしてるの?」



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