バケバケ




好きな女の子…か。


帰り道、俺は洋子の横顔を見た。


悲しませたくなかったら…


三好先生の言葉が今も耳に残っている。


洋子はたしかに大事な人だ。


でもその感情は、俺が昭人さんの洋子を守りたいっていう気持ちから生まれたから生じているだけ。


きっとそうだ。


きっと…




「あー!」


「うわっ!?急に大声出すなよ!」


「ごめん、ごめん。」


洋子は笑いながらケータイの画面を俺に見せた。


「お母さんからメール来た!今日の夕飯はシイの好きな焼きうどんだよ!!」


「まじか!やった!」




空は陽も落ちかけ、赤色に染まっていた。


その時なぜだかすごく嫌な予感がした。


真っ赤な空が俺たちをゆっくりと飲み込んでゆく。


残るバケバコはあと…19個




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