バケバケ
シグはカサについた汚れを払っている。
「さぁ、灰音くん。構えてくださいよ!」
俺はとっさにシグと距離を取った。
俺の判断は正解だった。
さっきまで俺がいた場所にはカサが突き刺さっていた。
「外してしまいましたね。」
シグがカサを引き抜くと俺の顔に水しぶきが飛んだ。
能力使ったな…
そんだけ本気ってことか…
「今さら俺を連れ戻してどうするつもりだよ、俺はやることはやったつもりだけど?」
「やることはやった?嘘はいけませんね。バケバコはまだ未完成なんですから…」
「あんなアブねーもん完成させられる訳ないだろ。」
「では壊すのやめてもらえますか?」
「それは出来ん。あの箱ほかっといたらトキにめちゃくちゃにされる。」
「そうでしょうね。」
シグは笑ってカサの先を俺の方に向けた。
「いくら君が天才だろうが、いくら君の身体能力が優れていようが…君は人間。」
「……。」
「あまりバケバケをなめない方がいいですよ。」