バケバケ




カサが開く。


暗いせいかカサの白い水玉模様がはっきりと目に飛び込んだ。


昔一度だけ見たことがあるコイツの能力…


「今日は湿気が少ないですね…」


シグはカサのバケバケ。


その能力は空気中の水蒸気を集める能力。


「時雨砲…発射!」


カサの先に球のように集まった水が俺目掛けて飛んでくる。


スローモーションのように見えた。


でもその速さに俺の体はついていけない。


「うっ!」


水の弾は俺の肩に直撃し、俺は数メートル先まで飛ばされた。


「安心してください峰打ちですから。」


シグがじわじわと俺に近寄って来る。


「僕の勝ちですよ。」


カサの先が俺の鼻先に向けられた。


体に力が入らない…


「さぁ、戻りましょう。トキさんが待ってます。」


「……」


ダメだ…


バケバケを相手にしたのは今回が初めてじゃない。


エレジーが戦闘向きでないこともあって、研究のためにいろんなバケバケと戦った。


ただこいつは桁違いだ。




< 204 / 469 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop