バケバケ
カサが開く。
暗いせいかカサの白い水玉模様がはっきりと目に飛び込んだ。
昔一度だけ見たことがあるコイツの能力…
「今日は湿気が少ないですね…」
シグはカサのバケバケ。
その能力は空気中の水蒸気を集める能力。
「時雨砲…発射!」
カサの先に球のように集まった水が俺目掛けて飛んでくる。
スローモーションのように見えた。
でもその速さに俺の体はついていけない。
「うっ!」
水の弾は俺の肩に直撃し、俺は数メートル先まで飛ばされた。
「安心してください峰打ちですから。」
シグがじわじわと俺に近寄って来る。
「僕の勝ちですよ。」
カサの先が俺の鼻先に向けられた。
体に力が入らない…
「さぁ、戻りましょう。トキさんが待ってます。」
「……」
ダメだ…
バケバケを相手にしたのは今回が初めてじゃない。
エレジーが戦闘向きでないこともあって、研究のためにいろんなバケバケと戦った。
ただこいつは桁違いだ。