バケバケ
エレジーはキョロキョロと辺りを見渡した。
「シグは!?」
「どっか行った。それより手貸してくれよ。」
「え?…ハイネ…服が濡れて…これ、シグに?」
「情けねーけど立てないんだ。エレジー、能力使えるか?」
「えぇ。家までなら空間移動が使えるわ。」
「そっか。じゃあ…帰ろう。」
エレジーが頷く。
「それと…もう1人で行ったりしないでくれよ?」
「でも…ハイネが…」
「すげー怖かったよ。シグのことだから、エレジーが死んだんじゃないかと思った。」
「……」
「わかってんだろ?俺はエレジーが死んだら生きていけない。」
「……」
「大げさ言ってるんじゃないからな。…大好きなんだ。」
エレジーは俺の目をじっと見て、俺の首に白い細い腕を回した。
そして、エレジーの能力で家まで帰った。
最初は…
シイと洋子を利用するつもりだった。
でも、今は…
いつか話さなきゃならない。
俺のことも、
バケバコのことも…