バケバケ
「そうだな…言わなきゃだめだよな。」
先に口を開いたのはシイだった。
「この前の話…シイには持ち主がいないって…」
「…そうだよ。俺の持ち主だった人は亡くなったんだ。」
「……」
「洋子もよく知ってる人だよ、俺の持ち主だった人は…明仁さんだ。」
明仁…?
「おじいちゃん?」
シイが頷く。
おじいちゃんが…
シイの持ち主だった…?
だからお葬式にシイが来たんだ。
「それから…能力のことも話しておかなきゃな…」
シイは指についたマヨネーズを舐めながら、皿を片付け始めた。
「洋子は…俺の能力何だと思った?」
「えっ、えーと…」
シイは水で皿を流し始めた。
「…瞬間移動?ではないんだよね?」
黄金の時も、三好先生の時も、シイは一瞬消えて敵の真後ろに現れて見せた。
「うん、違うね。…三好先生の能力が若干近いかも。」
「三好先生の…?」
たしか…触れた対象を抉りとる…
とか物騒な能力だったような…
それがシイの瞬間移動みたいな能力に関係が…?
「どういうこと?」