バケバケ
「あのね、なんかテレビ出てる人らしくて…それで友達と一緒に日曜日見に行くことになって…それだけなんだけど…」
「洋子!!」
「はいっ!!…?」
突然シイが私の肩をわしづかみにした。
「俺も…俺も連れてってくれ!!」
「へ?」
「月9見てるよ!『君のための哀歌』!すっごい感動した!この前の回とか…」
「ちょっと待って!わかった、連れてくから…」
シイは目をきらきらさせている。
まさかここまでのファンだったなんて…
「この前歌番組にも出てたけど、空手も強いんだよ!」
歌番組って…
私が思ってたより遥かに彼は人間の文化に馴染んでるみたいだ。
「そうだ!洋子ドラマ見ろよ、録画してあるから…」
「え!?いいよ」
「ダメだって!」
いつの間にか録画の仕方まで覚えてるし…
こうしてその晩、私は夜中の3時までドラマを見せられた。