バケバケ
―日曜日―
「さぁ、行こう!!」
「ちょっとシイ、落ち着いてよ。大人しくしててね。」
「わかってるって!」
ダメだ…
これは全然分かってないな…
「中森千秋って男の俺から見てもかっこいいって思うんだよ。」
「うん。」
「てことは…誰から見てもかっこいいってことだ。」
ごめん、意味わかんないよ。
イベントの会場になっているのは奈古美中央広場の特設ステージ。
それにしてもすごい人の数だ…
とりあえず真央たちと合流しないと…
「洋子ー!こっちこっちー」
「瑞穂!」
客席の真ん中辺りに瑞穂が手を振っているのが見える。
よかった。
意外に早く合流出来た。
私は人混みをかきわけ、瑞穂たちのもとに向かった。
「よくこんないい席とれたね。」
立ち見の人がほとんどな中、私たちは一番ステージがよく見える位置に座っていた。
「真央が頑張ったみたいだよ。」
莉子が真央を指差して笑った。