バケバケ




観客から拍手が起こる。


「このコーナーは参加型です!会場のお客様の中に千秋くんに何か質問したい人はいますかー?」


一斉に手が挙がる。


どうしよう…
私も挙げた方がいいだろうか。


でも…質問することないしなぁ


「じゃあ千秋くん、指名しちゃってください!」


「はい!うーん…」


ま、いっか挙げなくて。


「じゃ真ん中の席の赤い服の子!!」


…ん?


観客の視線が一斉にこちらに向いた。


今日の私の服は…


赤いカーディガン…




「…私?」


「洋子すごーい!」


「いいなぁー」


「…ずるい。」


瑞穂と莉子が口々に言う。


真央は少しすねた様子だった。


…私、手あげてないよ!?


「こちらにどうぞー!」


え!?


しかもステージ上がるの!?


「ほら、行っといで!」


瑞穂が私の背中を押す。


そして私は人の塊から弾き出されたようにステージ前に来た。


司会の女の人に促され、ステージ上にあがる。


そして脇からスタッフが私にマイクを渡した。




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