バケバケ
少しくせっ毛の明るい茶髪。
アーモンド型のきれいな瞳。
人懐っこいこの雰囲気は間違いなくアイドルのものだ。
別に身長誤魔化さなくてもいいのになぁ…
「なんで身長誤魔化してるんだろう。」
…え。
私、今口に出して…
「え!?」
中森千秋が目を見開いた。
観客も静かになっている。
「あ、えっと…」
「そっか!ばれちゃったかー!」
中森千秋は大袈裟に笑い観客席に向かって言った。
「ごめんねー!公式プロフィールには身長178って書いたけど本当は175なんだー、ちょっとサバよんじゃった!」
そしてまた笑顔を見せると観客席からも笑いがこぼれた。
それから中森千秋は襟元に付いていたピンマイクを手で覆いながら…
「これ終わったらステージ裏に来てね。もちろん1人で…」
と、笑顔をまったく壊すことなく小声で言った。
…どうしよう。
怒らせちゃったよ…
「すごいな洋子!」
シイはなんか喜んでるみたいだけど…
「他には聞きたいことない?」
「…ないです。」
早くステージから下りたい…
「そうかな?…」