バケバケ




「え?」


「僕にはまだあるように見えるけど…」


中森千秋が意味ありげに笑う。


その目は決して私を見てはいなかった。


私を横…


シイを見ている気がした。


まさか…シイが見えてる?



「ま、いいや!次の人ー!」


私たちは次の人と入れ替わりにステージを下りた。


観客席に戻るとすぐに真央の質問責めにあった。


「どうだったー?」


「え、どうって…」


「どんな匂いだったー?」


「に、匂い!?」


…真央、重症だよ。


「わかんないよ、匂いなんて。緊張してたし…」


「バカ野郎!」


…なんで怒られたんだ私は。






そのあと、中森千秋が何人かの質問を受け、さらに2曲歌い、最後に握手会をしてイベントは終わった。


「楽しかったねー!」


「千秋くんかっこよかったぁ!!」


「私、地下鉄なんだけど、みんな何で帰るの?」

「私は家近いから自転車。」


「私も地下鉄だよ!莉子一緒に帰ろー」


「うん。…洋子は?」


「私は…」




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