バケバケ
…ステージ裏に呼び出しくらってる。
けど、そんなこと言えない…
「私、徒歩だから!」
「…徒歩?あれ、洋子の家って奈古美市外じゃなかった?」
「え!?…あ、今日は徒歩なの!」
「ふーん…じゃ、ここで解散だね!」
「ばいばーい」
瑞穂は自転車で帰り、莉子と真央は地下鉄の駅の方へ歩いていった。
さて、私たちはここからが問題だ。
「シイ…」
私は小声でシイに話しかけた。
「ん?」
「どう思う?」
「どうって…行くんだろ?ステージ裏。」
「それはそうなんだけど、怪しいと思わない?」
「怪しい?誰が?」
「中森千秋だよ、他にいないでしょ!」
「…あぁ。」
本当にわかってるんだろうか。
「中森千秋は人間じゃないかもしれないんだよ。」
「もしバケバケなら観客に見えてないのはおかしいだろ。」
「…そうだけど。でもさっき明らかにシイの方見てたから。」
「たしかに目は合った。」
「ほら、やっぱり。もしバケバケじゃないんならきっと持ち主なんだよ。」