バケバケ
男の人が部屋のチャイムを鳴らす。
「はーい。」
「…千秋、俺だ。」
「あぁ、入っていいよー!」
男の人が扉を開ける。
「わざわざ出向いてもらっちゃって悪いなぁ。」
中森千秋が部屋の奥から現れた。
「どうぞ、座ってよ。」
そう言って、部屋の中央にある大きめのソファーに私たちを座らせた。
「えっと…」
「あぁ、そんなに緊張しないで。」
「用件はなんですか?さっきの身長のことなら…」
「全然怒ってないから。」
「…すみません。」
…怖いよぉ。
早くここから出たい…
「あのね、僕が君たちを呼んだのはもっと別のことだよ。なんとなくわかるでしょ?」
「…バケバケのことですか?」
「うん!」
中森千秋はニコニコと笑っていた。
やっぱりそうなんだ。
私は少し身構えた。
そんなふうには見えないけど、もしかしたら敵かもしれない。
隣に座っているシイからも緊張が伝わってきた。