バケバケ
「残念だな…俺、一応ファンだったんだけど。」
「嬉しいな、ありがとう。」
シイの体が消え始める。
改めてシイの能力を見ると、粒子化というのも納得出来る。
シイの体が完全に消えた。
「あれ?消えちゃった。」
中森千秋がきょろきょろと部屋を見渡す。
そして、シイは中森千秋の背後に現れ、隙をついてバケバコに手を伸ばした。
ところが…
―バンッ!
「!」
大きな音を立て、シイは壁に叩きつけられた。
一瞬、何が起きたのか分からなかった。
シイもそんな様子だった。
「…千秋の顔に…傷がついたらどうする…」
シイと中森千秋の間にあの男の人が立っていた。
ここで、ようやく私たちは理解した。
この人が中森千秋とシイの間に割って入り、シイを吹っ飛ばしたのだ。
「あーあ、ダメだよ燕。お客様なんだから。」
「…すまない。…でも俺は…マネージャーとして千秋を守らなければ…」
「あはは、それじゃマネージャーじゃなくてボディーガードだよ!ありがとね、燕。」