バケバケ
「……。」
シイは呆気に取られて男の人を見ていた。
「今のはバケバケの能力か…?」
「…俺は…能力を使っていない。」
そういえばさっき自分はバケバケじゃないって言ってたな。
でも、今のは人間技じゃなかった。
ただのマネージャーとは思えない。
「それで燕、どう?彼は?」
「…スピードはある。…俺の攻撃にとっさに受け身を取った……悪いやつにはみえない。」
「そっか、じゃあ…」
「……信用してもいい。」
「?」
一体二人は何の話をしてるんだろう。
男の人はシイの手を掴み、持ち上げ立たせた。
「…座れ。……千秋から…話がある。」
「え、あ…あぁ。」
シイは訳も分からず再び中森千秋の向かいのソファーに座らされた。
「最初にこれをみせておこうかな。」
中森千秋は左肩のTシャツの袖をまくりあげた。
「あ…これって…」
中森千秋の肩にはアルファベットが刻まれていた。
私の背中にもある。
これは壊したバケバコのイニシャル。