バケバケ
空中庭園の入り口には立て札があった。
『調整中』
「調整中かぁ、中に入れないね。」
「下に何か書いてある……噴水、及び自動給水器の故障のため…」
「なんだ、自動給水器って。」
「……ここの植物に…自動で水をやってくれる装置だ。」
「ふーん。」
それで入れないわけか。
私は入り口から空中庭園の中を覗いた。
「……?」
そして、木々の陰に何かが動いているのを見つけた。
私はとっさにシイの服の裾を掴んだ。
「シイ、あそこ…何かいるよ!」
「どこ?」
シイも木の陰を覗きこむ。
「…作業員じゃないのか?つなぎ着てるし…」
私がもう一回見ると、たしかに薄い緑色の作業着姿の人がいた。
「…なんだ、作業員か。」
今回のバケバケは千秋も強力そうって言ってたし、ちょっとびっくりしちゃった。
作業員の人は中腰になって何かをしている。
きっと故障した給水器を直しているんだろう。
すると、奥の木陰から、子供が二人顔を出した。