バケバケ
4.私のこと愛してる?
4.私のこと愛してる?
「はぁー?アホか、お前は。」
「アホじゃないわよぅ、だってもうすぐ8月よ?」
エレジーの手にはある広告が握られていた。
奈古美市を拠点とする、世界的にも有名な大手宝石企業、Luna*Linaの広告だ。
Luna*Linaは月をモチーフにしたアクセサリーが有名で、上品な石使いが人気だ。
ただ、とにかく高い。
「ねぇ、ハイネぇ。」
「うるさーい!」
「なによぅ、どうせお金あるんでしょう?」
「……。」
たしかに…ある。
俺の店は意外にも儲かっているのだ。
「けど…俺は研究が…」
「バケバケの研究なんてそんなにお金かからないじゃない。」
「うっ……」
「ハイネ…外出たくないだけでしょう?」
「……」
「引きこもりは体に悪いわよぅ?」
エレジーは後ろから俺の首に腕を回した。
「止めろ、暑苦しい!」
「だって8月は私の誕生日じゃないの。」
「俺もお前とおんなじ誕生日だけど?」