バケバケ
「俺がそんな簡単に負けるわけないだろー。」
「でも…相手はシグなのよぅ?」
「関係ないね。」
俺は立ち上がった。
「お前のパートナーになったあの日から決めたんだ。」
顔を隠しているエレジーの手をどける。
きれいな青い瞳から大粒の涙か頬を伝い、長いまつげが濡れて光っていた。
「や、やだ!…見ないでよぉ…」
俺の手を振りほどこうとするエレジー。
でも、俺は絶対に放さなかった。
「俺たちが出会ったあの日…エレジーは俺を助けてくれたから。」
「……。」
「エレジーがいなかったら…たぶん俺は今生きてないよ。」
「ハイネ…」
エレジーは顔を上げて俺の方を見た。
「私のこと……愛してる?」
その言葉に、自分でも驚くくらい素直な気持ちになった。
「愛してる。世界で一番、誰よりも何よりも。」
そして、エレジーの金色の髪を払い、震える唇にキスをした。
―ガターン!―
……………え。
なんだ今の音は。
部屋の入口の扉の向こうから聞こえてきた。
うわ…
なんかすっげー嫌な予感が……