バケバケ
「もうイヤ!」
戻って来るなりそういい放つと、エレジーは男の人の背中を押して私たちの前につきだした。
男の人は怯えた様子で灰音と私を交互に見た。
「ダメじゃん、エレジー。男の人脅しちゃ。」
「失礼ねぇ、脅してないわよぅ!!最初っからびくついてるの!イライラするわ…」
男の人はエレジーの服の裾を掴み、私たちを指差して、
「who…?」
と、言った。
「だからぁ、私日本語喋れるわよ!!」
エレジーが男の人の手を払う。
「まぁまぁ、エレジー。いろいろあって彼もテンパってんだよ。」
「じゃあハイネが相手してちょうだいよ!」
「わかったから落ち着け。」
灰音は男の人に歩み寄り、優しく話し掛けた。
「俺は神崎灰音。あなたを助けるためにきました。」
「……?」
「ネックレスの件でお困りのようで。」
「!!!」
ネックレスの単語を耳にすると男の人の顔色が変わった。