バケバケ



「彼女の住むマンションに行きました。…そしたら……うっ…う…」


男の人は肩を震わせて泣き出した。


「おい!泣くなら全部話し終わってからにしろよ!」


「灰音!」


「……そのあとどうなったんだ?」


「……うっ…うわーん!!」


「……なんかエレジーがイライラしてた気持ちがわかる気がするな…」


灰音は頭を抱えた。


「僕……僕っ!!…ミナミちゃんのこと信じてたのに…」


「ミナミちゃん?」


「大好きだったのにぃー!」

男の人は机に突っ伏して泣きわめきだした。


「ミナミちゃんって…彼女のことじゃないの?」


「…彼女か。たぶん、ネックレス渡す前にフラれたんだな。」


「灰音、声大きいよ!聞こえちゃうよ!」


「まぁこんな泣き虫男じゃフラれても当然じゃないかしら?」


「エレジーまで!」


男の人はゆっくり顔を上げた。


「…全部聞こえてますよぉー。それに…フラれてないです。」


そしてまた泣き出した。




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