バケバケ
「じゃあミナミさんに開けてもらってください。」
「えぇ!?僕が?」
「当たり前じゃないですか!」
「でも…でも」
「さっさとしろって。」
灰音が後ろから爪先で男の人の膝を蹴る。
「痛い!……わかりましたよ…」
男の人が部屋番号を押す。
「はい?」
スピーカーから女の人の声が聞こえてきた。
「ミナミちゃん?僕だよ…タケル。」
……タケルっていうんだ。
名前聞くのすっかり忘れてた。
「あぁ!竹内?どうしたの?」
……竹内…
「あ、えっと…ミナミちゃんにお話があってね…」
「お話?」
「あと…3人連れてきてるんだけどいいかな?」
「3人?竹内の友達?いいよ、今すぐ開けるね。」
ガチャというインターホンが切れる音がして自動ドアが開いた。
私たちは正面のエレベーターに乗った。
「竹内って?」
「僕の名字だよ。竹内タケルっていうんだ。」