バケバケ
俺は洋子が好きだ。
でもそれは普通の人間の恋とは違うんだと思う。
「洋子が好きで当然なんだ。……俺は明仁さんの洋子を守りたいっていう気持ちから生まれてきたんだから。」
「……」
そうだ。
だから、洋子を好きだって気持ちはきっと俺の気持ちじゃない。
孫思いのある一人の人間の感情。
「くだらないわぁ。」
「?」
先頭を歩いていたエレジーが振り返って言った。
「私はハイネを愛してる。ハイネも私を愛してくれる。それでいいと思ってる。」
「……。」
「好きという感情に人間とか、バケバケとか…関係あるのかしら。」
エレジーは前に向き直った。
「見てればわかるわ。……シイは洋子が好き。…紛れもなく、それはシイ自身の感情よ。」
俺の…感情?
本当にそうなんだろうか。
でも…
「そうだったらいいな。」