バケバケ
家に着いた。
「二人とも、助かったよ。」
「ん。お大事にな。」
エレジーがまた扉を作り直す。
「じゃあな。」
扉が完成し、二人は中に入っていく。
「あ、一言忘れてたよ。」
半分扉の向こうに足を踏み入れたまま、振り向いて灰音が言った。
「あのバケバケ…俺は一瞬みただけだが…なんかおかしくなかったか?」
俺は双子のバケバケが最後に反撃した時のことを思い出した。
たしかに、契約の力を受けているのに反撃するなんて…
相当持ち主の力が強かったのか…
「灰音、持ち主見たんだろ?どんなやつだった?」
「気の弱いフツーの人だよ。」
「普通の人?…あのバケバケ、かなり力が強かったんだ。その人の何の感情がバケバケを動かしてたんだ?」
「なんかー…彼女に捨てられたと勘違いして、その辺のカップル恨んでました。…みたいな?」
「なんだそりゃ。そんなんであんな力出せるのか?」
「俺もそう思ったさ、だからおかしくないかと聞いたんだ。」