バケバケ



「わかりました。…理由、聞かないんですか?」


「理由?」


母親はすごく不思議そうな顔をした。


「どうせ道端とかで寝ちゃったんでしょ?」


え…


何だそれは…あんたの娘は酔っぱらいか。


「もう、高校生にもなって…」


この人は娘が心配じゃないのか?


…まぁ、言い訳しなくていいから助かったけど。


「じゃあ俺、洋子を部屋まで運びます。」


「ありがとう。悪いわ、ホント。」


「いえいえ。」


なんか洋子が気の毒だ。






「んー…」


階段を半分上がったところで背中から唸り声が聞こえた。


「…あれ?」


洋子が目を覚ましたみたいだ。


「…シイ?え、やだ!!なんで私背負われてるの!?」


「倒れてたからだろ。」


「一人で歩けるよ!降ろして!」


「バカ、暴れんな!俺まで落ちるだろ。」


なんとかバランスを保ちながら洋子の部屋までたどり着き、ベッドの上に洋子を降ろした。




< 293 / 469 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop