バケバケ
「わかりました。…理由、聞かないんですか?」
「理由?」
母親はすごく不思議そうな顔をした。
「どうせ道端とかで寝ちゃったんでしょ?」
え…
何だそれは…あんたの娘は酔っぱらいか。
「もう、高校生にもなって…」
この人は娘が心配じゃないのか?
…まぁ、言い訳しなくていいから助かったけど。
「じゃあ俺、洋子を部屋まで運びます。」
「ありがとう。悪いわ、ホント。」
「いえいえ。」
なんか洋子が気の毒だ。
「んー…」
階段を半分上がったところで背中から唸り声が聞こえた。
「…あれ?」
洋子が目を覚ましたみたいだ。
「…シイ?え、やだ!!なんで私背負われてるの!?」
「倒れてたからだろ。」
「一人で歩けるよ!降ろして!」
「バカ、暴れんな!俺まで落ちるだろ。」
なんとかバランスを保ちながら洋子の部屋までたどり着き、ベッドの上に洋子を降ろした。