バケバケ
洋子を失うのが怖くて…
洋子に何も教えなかった。
知ったらきっと後戻りは出来ない。
でも…洋子の中にはもうその覚悟があったんだ。
だからバケバケ相手にも立ち向かっていった。
そんな洋子にとって、怖いのはバケバケじゃない。
何も知らないこと…
無知が一番怖いんじゃないか?
「洋子…俺の持ち主になってくれないか?」
気が付いたら、そう言っていた。
「え…?」
「…嫌?」
「……」
洋子の目が俺を見つめる。
そしてその目から大粒の涙がいくつも流れ出した。
「洋子!?ごめん、嫌だった?」
「……ゃない…」
「?」
「嫌じゃない。」
洋子は俺の膝にしがみついて泣き出した。
「じゃあなんで泣くんだよ。」
「嬉しいの!」