バケバケ




「房枝さんを想うように…かぁ。」


昭仁は時計を胸元で握りしめ、目を閉じた。


「俺、房枝さんのこと考えるとすごく幸せな気持ちになるんだー。」


そう言う昭仁は本当に幸せそうだった。


よほど房枝とやらが好きなのだろう。


悪いことをしてしまった。


だがこれだけ昭仁が愛しているのだ。


きっと房枝も気持ちは分かってくれるはずだ。


「神様ー?」


「なんだ。」


「これ、次はどうする?」


「…もうよい。それだけだ。」


昭仁が目を開ける。


瞳が輝いている。


「よーし、じゃあ行ってくるよ!ありがとう神様!!」


「あぁ。達者でな。」


昭仁は時計を肩から提げていた布の鞄にしまおうとした。


その時、異変が起きた。


時計が光り出したのだ。


「神様、なんか時計が…熱っ!!」


昭仁の手から時計が落ちる。


時計は地面に当たり、さらに強い光を放った。




< 307 / 469 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop