バケバケ
ボクの姿が見えていると知った当たりから怪しいと思ってはいたが…
昭仁…この人間はものすごい力の持ち主なんじゃないか?
「神様、一体何が…」
「落ち着け。そして少し離れているがいい。」
トキは完全に嫉妬に狂っていた。
「昭仁…昭仁は私のものだ!!」
竜巻がさらに激しくなり、こちらに向かっていた。
この大きさはボクが避けきれたとしても昭仁が危ない。
仕方がない、アレを使うか。
「大地に眠りし紅き竜よ、今ここにその力を示せ…焼き尽くせ、紅蓮柱!」
大地から紅い火柱が立ち上がり、黒い竜巻を相殺した。
「すごいよ、神様!」
「呑気なことを言ってる場合か!」
近年参拝者も減ったせいで、ボクの力はかなり弱い。
もう火柱も何本もだせないだろう。
かといってトキを放っておくわけにもいかない。
この女は房枝を間違いなく殺すだろう。
そんなことになったらこの素直で純粋な青年は悲しむことになるのだ。