バケバケ
2.俺が生まれた日
2.俺が生まれた日
「君の名前はなんていうんだい?」
「…俺?……俺はシイ。」
「そうか、シイ初めまして。俺は昭仁。」
昭仁さんは俺に手を差し伸べた。
俺がその手に自分の手を伸ばすと、昭仁さんは俺の手を握りしめた。
「ちょうど洋子と同じ年くらいかな。」
「洋子?」
「俺の孫だよ。……ほらそこにいるだろ?」
昭仁さんが窓の外を指差す。
外で一人の女の子が遊んでいた。
色白で大きな瞳、茶髪の癖っ毛は昭仁さんそっくりだった。
「あの子が…」
「そうだよ、自慢の孫なんだ。…かわいいだろ?」
「……かわいい…です。」
昭仁さんは楽しそうに外で木の枝を集める洋子を、目を細めて見ていた。
「あの子はねぇ、俺に似て力が強いんだ。」
昭仁さんは洋子に視線を向けたまま言った。
「だから、俺はあの子がバケバケを見ないようにした。…けどそれでもあの子は危険な目にあってしまうだろう。」