バケバケ
昭仁さんの言う通り、洋子にはバケバケが見えないらしい。
やがて、洋子にボディーガードがついたという噂がバケバケの間に広まり、洋子を狙うやつは少なくなった。
だから俺は油断をしていた。
さらに、昭仁さんから生まれた俺はもともと強い力を持っていた。
それもあり、どんなバケバケが来ても勝てるだろうと自惚れていた。
そして事件は起きてしまった。
10年経った今でも忘れられない。
今でも残像がはっきりと頭に残っている。
俺は油断していた。
そして少しの間、洋子から目を離してしまったのだ。
気がついた時には遅かった。
そいつは砂場にしゃがみこんで遊ぶ洋子の目の前にいた。
そしてそいつが伸ばした手は、もう洋子に届きそうだった。
俺が…守らなきゃいけないのに…
間に合わなかった。
洋子に伸ばした俺の手は、届くことがないまま。