バケバケ
全てが終わってしまった。
けれど、洋子は生きていた。
洋子をかばった人がいたのだ。
洋子の父親だ。
昭仁さんの息子である洋子の父親も、洋子ほどではないが力が強かった。
彼は身をもって自分の娘を守った。
後日、洋子の父親の葬儀が行われた。
雨が降っていた。
そして俺は告別式で目を疑うものを見る。
泣きじゃくる洋子の隣の席にあいつがいた。
洋子の父親を殺した張本人であるあいつが、なに食わぬ顔で洋子の隣に座っていた。
洋子はあいつが自分の父親を殺したなんて気がついていない。
それは今でもそうだ。
俺が生まれた日、昭仁さんは俺に言った。
「洋子を守ってくれ。特にトキには気をつけて。」
ところが俺の敵はトキだけではなかった。
もっと近くに…
洋子のすぐそばに黒い影はあったのだ。
あいつは間違いなくまた洋子を襲う。