バケバケ
式の後もそいつは洋子のそばを離れることはなかった。
洋子のすぐ後ろにつき、会場を出ていった。
俺はその跡を追った。
何とかして洋子に伝えるべきか。
でも洋子に俺の姿は見えない。
それにもし洋子が真実を知ったとして、洋子はどうなるんだ?
洋子が傷つくだけじゃないのか?
いろんな考えが頭の中を駆け巡る。
そして考えていた俺は背後に迫るそいつの気配に気が付かなかった。
「!」
気がついて振り返ろうとした瞬間、俺は背中を思い切り蹴られた。
「……。」
そいつは無言で俺を見下ろしていた。
「洋子の護衛のバケバケってこんなチビのことだったんですね。」
そいつは冷たく笑う。
そして地面に這いつくばる俺の前でしゃがんだ。
「僕は…洋子が好きなんです。シイ…でしたか?あなたのような虫がくっついては迷惑だ。」
「……。」
言い返したいのに声が出ない。