バケバケ
「10年あげます。その間に君は僕より強くなってみてください。それまでは僕が洋子を守る。」
…こいつ一体何考えてるんだ?
「10年経ったら僕は洋子を殺します。」
「!」
「そこで君が洋子を守ることが出来たら君の勝ち。出来なければ僕の勝ち。」
「そんなもの…受け入れられるわけ…」
「なら今洋子を殺してもいいんですよ?」
「!」
…こいつ!!
俺は衝動的に体を粒子化させた。
姿を消して、こいつの後ろを取れれば…
しかし、手首まで粒子化したところで止まってしまった。
「……?」
「君の能力が僕に通用するわけないでしょう。」
そいつはうつ伏せになったまま絶望する俺を嘲笑った。
…悔しい。
「どうするんですか?どうせ今の君じゃ洋子を守ることなんて出来ないんですから、この話に乗るのが賢いと思いますが?」
…こいつの言ってることは正しい。
俺にはもう選択肢は一つしか残されていなかった。