バケバケ



「…わかった。」


「契約成立ですね、じゃあ…」


そいつは俺の襟首を掴み、無理矢理立たせた。


「10年頑張ってください。」


「…」


俺はその場を離れた。


あと10年…


その間に絶対に俺は強くなる。


そして必ず洋子を守るんだ。


もうあんな思いはしたくない。






この時、俺の中には強い決心があった。


バケバケの中では有名な、捨山神社。


そこには強い力を持った神様がいて、バケバケに力を与えてくれるらしい。


俺はそこに向かっていた。


もちろん力を得るために。






「お前…昭人なのか?」






神は突然現れた俺に対し、開口一番にそう言った。


「…違う。」


「…そうだな、昭人は大人だものな。お前みたいな小僧がボクに何の用だ。」


神は子供の姿をしていた。


前髪が切り揃えられた真っ黒な髪に、赤い椿模様の着物。


人間のようだった。




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