バケバケ



「俺は強くなりたいんだ、力を貸してくれ。」


「随分と偉そうなガキだな、力を得てどうする。」


「守るんだ、洋子を。」


「……」


神はまじまじと俺の顔を覗きこむ。


「…その目、昭人そっくりだ。」


神は俺の手をとった。


「よかろう、力をやる。しかし、今ボクがお前にやれる力は黒の力しかないのだ。」


「黒の力?」


「そうだ。黒の力はすなわち人間を滅ぼすための力。」


「…滅ぼす?」


「最近ボクの力は弱ってきた。もうボクには黒の力しか残されていない。ボクは人間が嫌いだからな、そんな力だけが残ってしまったんだろう。」


人間を滅ぼす力…


黒の力…


「お前がうっかり制御を誤れば、周りにいる人間を傷つけかねん。それでもいいか?」


俺の答えは決まっている。


洋子が守れるなら、洋子の周りの人間が傷ついたとしてもかまわない。


「それでいい。」


「了解した。…少し痛むぞ。」




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