バケバケ
「何?何かあるの?」
「いや、」
「嘘。何かあるでしょ?」
「……さっきから誰かに見られてる気がするんだ。」
…私は別にしないけど。
「誰?」
「わかんない。気のせいかも。ごめん、変なこと言って。」
「別にいいけど。」
でも、シイがそういうこと言うと少し気になる。
何もなければいいけど…
おばあちゃんがぬれせんべいを持ってきてくれた。
「ありがとう。」
「洋子はぬれせんべいが好きだったからね。」
私がせんべいを食べ始めると隣から熱い視線が…
シイが私の服の裾を引っ張る。
「おい、それ旨いのか?」
「言っとくけどシイは食べちゃダメだよ、おばあちゃんにはシイが見えないんだから。」
私がそう小声で返すと、シイは残念そうに小さなため息をついた。
「あとでおばあちゃんの見えないところであげるから。」
「…我慢する。」
しばらくすると、またシイがキョロキョロしだした。
「今度はなに?トイレ?」
「いや……なんでもない。なぁ、ちょっとその辺散歩しないか?」