バケバケ
「行く?」
「当たり前だろ。」
私たちはとりあえず家の周辺を歩いてみることにした。
おばあちゃんの家にはよく行くけど、散歩をするのは子供の時以来だ。
田んぼが広がり、所々舗装されていない道が続く。
歩いているうちにいろんなことを思い出す。
田んぼに沿った溝でザリガニを捕ったこと。
たしかこの近くにおばあちゃんが世話をしている柿園があって…
とにかく柿をとった。
私は柿苦手だから食べれないんだけど。
それから…
今歩いているこの道を真っ直ぐ行くと左手に…
「あ!」
あった、私が昔よく遊んでいた場所。
砂が山積みにされただけの砂場。
タイヤが積み重なっただけのジャングルジム。
だいぶ前に近所の人たちが作ったらしいブランコ。
私が…小さいころ遊んだ小さな公園だ。
「わぁー懐かしい!」
ブランコに触ると、塗装がぺりぺりと剥がれて足元に落ちた。