バケバケ


ブランコの隣にある砂場も、昔より少し砂が減った気がするがほとんど変わっていない。


「洋子…よくこの砂場で遊んでたよな。」


「うん!…あれ?…なんでシイが知ってるの?」


「え…っと、昭仁さんから聞いたんだよ。」


「ふーん。」


この公園は、柵に囲まれてはいないので、周りの景色がよく見える。


景色といってもほとんどが田んぼか畑だけど。






ベンチに座って、ぼーっと景色を見ていると、何か黒い影が田んぼの向こう側に見えた。


「シイ、何だろアレ。」


私が指差すと、シイもその方向を見た。


「…カカシだろ。」


「カカシ?…でも……」


黒い影はだんだん大きくなっている気がする。


「ねぇ…アレ、こっち近づいて来てない?」


「……そうだな。」


影は近づくにつれて、その輪郭がはっきりしてきた。


「人…?」


すると、一緒に影を見ていたシイが突然声を上げた。


「うわ!」


「え、なに?」


「ヤバい、洋子…逃げるぞ。」


シイは影と反対方向に走り出した。


「あっ、ちょっと待ってよ!」


< 329 / 469 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop