バケバケ




「待てーー!!止まれバカヤロー!!」




影が叫んでる。


「シイ、何か待ってって言ってるよ?」


「無視しろ、止まるな!走るの止めたら死ぬぞ!」


「えっ、死ぬの!?」


「待てって言ってるだろー!!」


「うわっ、声が近くなってる!」


シイがさらに走る速度を上げる。


「ちょっとシイ!!」


私もうこれ以上走れないよ。


私は減速して立ち止まった。


「はぁ。」


すると、私の横を黒い影がものすごい速さで通過した。


「あ…」


影は私を通りこし、シイの方に直進し、シイの背中に激しく追突した。


「ぐあっ!」


シイと影が地面に崩れ落ちる。


私がそこに駆け寄ると、うつ伏せに倒れたシイの上に黒い影が乗っかっていた。


「シイ、大丈夫?」


恐る恐るシイに声を掛けてみる。


「…大丈夫じゃない。…つーかお前はさっさと降りろ!」


するとシイの上にあった黒い影がゆっくり頭を起こした。




< 330 / 469 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop