バケバケ
「待てーー!!止まれバカヤロー!!」
影が叫んでる。
「シイ、何か待ってって言ってるよ?」
「無視しろ、止まるな!走るの止めたら死ぬぞ!」
「えっ、死ぬの!?」
「待てって言ってるだろー!!」
「うわっ、声が近くなってる!」
シイがさらに走る速度を上げる。
「ちょっとシイ!!」
私もうこれ以上走れないよ。
私は減速して立ち止まった。
「はぁ。」
すると、私の横を黒い影がものすごい速さで通過した。
「あ…」
影は私を通りこし、シイの方に直進し、シイの背中に激しく追突した。
「ぐあっ!」
シイと影が地面に崩れ落ちる。
私がそこに駆け寄ると、うつ伏せに倒れたシイの上に黒い影が乗っかっていた。
「シイ、大丈夫?」
恐る恐るシイに声を掛けてみる。
「…大丈夫じゃない。…つーかお前はさっさと降りろ!」
するとシイの上にあった黒い影がゆっくり頭を起こした。