バケバケ
「だから止まれって言ったのに。」
影は立ち上がると砂ぼこりを払ってこちらを見た。
女の子だ…
背中に届くくらいの黒髪のを頭の高い位置で高く結んでいる。
真っ白な肌につり目の大きな瞳…
身長は私より少し低い。
黒いセーラー服から真っ白な長い手足が伸びていた。
すごい美人だ。
「だぁれ?」
女の子は私を見るなり眉をひそめた。
そして私を上から下までじろじろ見る。
「止めろ、ギン。」
シイが女の子の肩に手を置き制した。
「何すんのよ、触んないで!」
ギンと呼ばれた女の子はシイの手を思いっきり払った。
「体当たりしてきたくせに触るななんてよく言えるな。」
「うるさい!…で、誰なのこのアホそうな女。」
…それって私のこと?
「洋子はアホじゃない、ちょっと抜けてるだけだ。」
…シイ、あんまりフォローになってないよ。
「洋子は俺の新しい持ち主だ。」
「持ち主ィ?」
女の子が腕を組みながら下から見上げるように私を見る。