バケバケ
「フン!良かったじゃない。」
…なんかこの子怖い。
「ごめん、洋子。こんなんだけどいいやつなんだよコイツ。」
「い、いいやつじゃないもん!」
女の子がバシバシシイを叩く。
「コイツはギン。昭仁さんから生まれたバケバケなんだ。…だから妹みたいなもんか?」
「妹じゃないもん!」
ギンが両手でポカポカとシイを殴る。
たしかに悪い子じゃなさそうだ。
「そっか、おじいちゃんの…」
「おじいちゃん?ってことは昭仁さんの孫?」
「うん。」
そして目だけでシイを見る。
「じゃあなおさら良かったじゃないの。」
「なおさら?」
「ギン、余計なことは言うなよ。」
「わかってるわよ。」
「ってことで、ギンは友達がいないからな、仲良くしてやってくれよ洋子。」
「何よそれ!?」
シイの隣でギンがキーキー喚く。
「ギン…でいいかな?よろしくね。」
私が手を伸ばすと、ギンも手を伸ばした。
「…別に、仲良くしてあげてもいいわよ。よろしく。」