バケバケ

握手をするとギンは顔を伏せた。


｢…どうしたの？｣


｢なんでもないわよ、ただ…こういうの慣れてないから。｣


さっきから怒ってるのかと思ってたけど、そうでもないらしい。


きっと不器用なんだ、この子は。


なんか…


｢ギンって…可愛いね。｣


｢?!……なんなの？あなたバカなの!?｣


ギンがあたふたしてる。


ころころ表情が変わって面白い子だなぁ。


｢よかったな。…そういえば他の奴らは？｣


｢…何人かは持ち主が見つかってこの場所を出て行ったわ。けど…残りはみんな消えちゃった。｣


｢…そうか。｣


消えちゃった？


何の話？


そんな私を察したのかギンが教えてくれた。


｢ここに住んでた昭仁さんが生み出したバケバケたちの話よ。昭仁さんが亡くなってからみんな大変だったわ。｣


そっか…


持ち主が亡くなって、心の力が供給されなくなったらバケバケも消えてしまう。