バケバケ


「ギンはもう新しい持ち主見つかったのか?」


「…もちろんよ!馬鹿にしないで!」


「ならよかった。ところで、この辺りの神隠しについて何か知ってるか?」


そうだった。


私たちはその調査に来たんだった。


「神隠し?…さぁ、知らないわ。」


「そうか、ありがとう。…じゃあ戻るか洋子。」


「うん。」


私たちがおばあさんの家に引き返そうとすると、ギンが私の服の裾を掴んだ。


「ま、待ってよ。洋子を連れていきたい場所があるの。」


「こら、ギン。洋子引き止めたら房枝さんたちが心配するだろ。」


「でも…」


ギンが寂しそうに俯く。


「いいよ。行こ、ギン。」


「え、いいのかよ。」


「大丈夫だよ。」


ギンの顔が輝いた。


「洋子をどこに連れてく気なんだ?」


「松本さんのところよ。」


「松本さん?なんでまた…」


「なんでもいいじゃない!シイには関係ないわ。…行きましょ、洋子。」




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