バケバケ



ギンは私の腕を掴んで引っ張っていった。


どこ連れていく気だろう。


「待てって、俺も行く。」


シイがあわてて私たちの後を追いかける。






畑や田んぼが続く道をしばらく歩き、私たちの前に竹やぶが現れた。


まだ昼だというのに薄暗く、先が見えなかった。


「ここに入るの?」


「そうよ。」


ギンはずんずん歩いていく。


「えっ…でもここ暗いし危ないよ。」


「大丈夫よ、入ればわかるわ。」


「全然危なくねーよ。」


ギンに続いて、シイも竹やぶの中に入っていく。


「あ、置いてかないでよ!」


私も恐る恐る竹やぶに足を踏み入れる。






「え……?」


竹やぶに私が足を踏み入れた途端、景色が変わった。


そこは竹やぶではなくなっていた。


木は一切なく、一面に草原が広がっている。


そしてその草原の中に、木造の大きな建物がどっしりと腰をおろしていた。


建物についた背の高い三本の煙突からそれぞれ黒い煙が出ている。




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