バケバケ
「何…ここ。どうなって…」
「エレジーのと似た空間支配系の能力だよ。」
シイが建物の引き戸を開け、私たち三人は建物の中に入った。
「いらっしゃい!」
建物に入るや否や、威勢のいい言葉が投げ掛けられる。
正面にあるカウンターに角刈りにねじり鉢巻きのおじさんが座っている。
「おぅ!ギンじゃねーか!」
おじさんはカウンターから出てきた。
「久しぶりだわ、松本さん。」
「おうよ!で、そっちのメガネ君とお嬢ちゃんは?」
「やだわ、忘れちゃったの、シイよ?昔よく私と一緒に来てたじゃない。」
「シイ!?そりゃ驚きだ、最後にこいつ見たのは10年前くらいだもんな。」
おじさんがシイの両肩をがっしり掴み揺さぶる。
「男前になったなぁ!相変わらず冷めた目ぇしてんなお前!」
「…悪かったな。」
それからおじさんは私の方を見た。
「こっちのお嬢ちゃんは見覚えがないんだが…新入りか?」
「そうよ。洋子っていうの。シイの持ち主で………私の友達。」
ギンが顔を伏せながら言う。